2018年10/16〜11/11に、新潟市の旧小澤家住宅にて開催された新潟仏壇組合と越後生紙振興会との合同展示レポートです。
第7回 新潟仏壇工芸展
主催: 新潟仏壇組合・旧小澤家住宅 共催:新潟市
伝統技術の粋を集めた企画展 〜伝統仏壇から新作小物まで〜
「未来へつなぐ伝統の技」と題し、新潟仏壇組合 五職の匠による伝統仏壇から新作小物までの多岐にわたる作品が展示されました。蔵には本格的な正統仏壇や現代仏壇が展示され、傍らには匠愛用の道具や各工程にゆかりの品々も。また、和室には仏壇製作の高度な伝統技術を駆使した愛らしい小物や、技巧を凝らした工芸作品、昨年発表した「NIIGATA TAMATEBAKO 新潟玉手箱」といった意欲作まで、新潟仏壇技術の粋が一堂に会しました。
新潟仏壇の女性蒔絵師による蒔絵のアクセサリーや蒔絵をあしらったおりん(上2点 羽賀佛壇店 羽賀富美子さん作/下2点 林佛壇店 佐藤裕美さん作)
旧小澤家の長い廊下の窓辺に並ぶのは、田中金具店のお茶道具。筆置きや蓋置きなど、精緻な彫りが施された作品を並べる金具師の田中隆司さん。
今回は越後生紙振興会と初めての合同展示を行いました。併催ならではのコラボ展示が会場のあちこちに。金具作品の下に敷いてあるのは、越後生紙展参加の6工房による凄腕和紙。さすが伝統工芸品どうし、よく馴染み互いの良さを引き立てあっていました。
新潟仏壇の塗箔師、蒔絵師、金具師が、未来の玉手箱を手がけた「NIIGATA TAMATEBAKO 新潟玉手箱」も再登場。
高級箪笥として名高い加茂桐箪笥の職人による桐箱に、新しい感性で漆と蒔絵、手彫り金具をあしらいました。
NIIGATA TAMATEBAKO – Exciting New Challenge for Niigata Traditional Craftsmen
新潟玉手箱 新潟仏壇の新しい挑戦 Vol.1 はこちらから
新潟玉手箱 新潟仏壇の新しい挑戦 Vol.2 新潟仏壇の匠たち 活動レポート ー 2017年9月から現在までの軌跡 はこちらから お読みいただけます。
アンティーク・ショーケースの中には、おなじみ羽賀佛壇店 羽賀良介さん作の「KOIOKI コイオキ」。愛らしく泳ぐさまを覗き込む、微笑ましい光景も。
そのお向かいのコーナーには、友坂佛壇店 友坂弘之さんによる漆塗りカップの数々が並びました。
製作体験(ワークショップ)
10/21㊐・28㊐ 金具打ちによるネームプレート作り
金具打ちと金箔張りを体験できるワークショップ。打ち込む姿は皆さん真剣そのもの。
11/3㊏㊗︎ 文化の日 蒔絵によるネームプレート作り
自分だけのオリジナル作品ができました、持ち帰ってみんなに見せるのが楽しみ! 自信のない人には職人さんが細部を整えてくださり、匠とのコラボ作品が完成しました。
実演
11/3㊏㊗・4㊐ 伝統工芸士による蒔絵実演
蒔絵について職人さんから直に話を聞ける実演も魅力。蒔絵から飛び出したような着物の少女と蒔絵の伝統工芸士の触れ合い
新潟仏壇組合の皆さん。お揃いの法被を粋に着こなすベテラン職人の方々。
左より 友坂弘之さん(友坂佛壇店)、渡辺豊さん(渡辺蒔絵店)、高木協さん(高木蒔絵店)、滝沢茂さん(滝沢塗店)、田中隆司さん(田中金具店)
そして、新潟の伝統仏壇の技術継承に尽力されている新潟仏壇組合加盟店の皆さん
岩崎荘一郎さん((有)岩崎仏壇店)、小川豊一さん((有)小川屋仏壇店)、羽賀良介さん(羽賀佛壇店)、林芳弘さん(林佛壇店)、坂上和雄さん(吉原仏壇店) 全10社(代表者名。店名五十音順 2018.11現在)
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越後生紙展
主催: 越後生紙振興会
新潟県各地から越後生紙の職人が集結! 参加6工房それぞれに特色のある、美しい手すき和紙を持ち寄りました。
製作体験 – 和紙職人によるワークショップ
各工房の和紙を使用した製作体験は3種類。多くの家族連れに参加していただきました。
10/21㊐ 和紙折染め体験(越後門出和紙)
門出和紙制作のワークショップではベテラン職人が、作業をひとつひとつ丁寧に教えてくれました。
10/28㊐ 和紙の花づくり(小国和紙生産組合)
和紙の柔らかさと加工の自由さを活かして、和紙でコサージュを作るワークショップ。可憐な和紙の花で女子力UP!?
小国和紙制作の和紙の生け花は凛として、古民家の雰囲気にとてもよく似合います。
11/3㊏㊗ 六角ちょうちんライトづくり(越後生紙振興会)
LED電球を使う和紙のミニ行灯づくり。透かしの部分に工夫を凝らすのが楽しそう。
製作体験の参加賞「小さな生紙和紙グッズ」は嬉しいプレゼントでした。
展示会では和紙そのものだけでなく、和紙の特徴を生かした行灯、扇子、その他様々な作品が紹介されました。
門出和紙制作の行灯に透ける模様は、新潟の実際の山並みを表しているそうです。
福島潟ヨシあし和紙の会 素朴で温かい、昔ながらの紙皿には柿や栗など乗せて飾りたくなりますね。
10/27から11/4までは、各工房が和紙、小物などの販売を行いました。工房の職人さんから、作り方や材料について話を聞いていると、あれもこれもと目移りしてしまいます。
雪布和紙 水辺の波紋のような意匠の和紙には、様々な草木の材料が漉き込まれています。
紙工房 泉 弥彦山の湧水と地場の原料を使い、植物染めで作られる和紙は素朴で柔和な色彩。
伊沢和紙工房 大地の芸術祭の作家と協働で創作和紙を製作展開するなど、アートの領域に到達した作品も。
和紙のウェディングドレスなど、大胆な作品も展示されました。秋の陽光降り注ぐお庭にて記念撮影。
美しい佇まいの旧小澤家住宅をふんだんに使わせていただき、芸術の秋にふさわしく、新潟の2つの伝統工芸文化に触れていただける展示会となりました。初の併催は大変好評で、またご一緒に展示を、という声が早くもあがっています。プラン段階から設営・展示・終了まで、多岐に渡ってサポートいただきました旧小澤家住宅の皆様には、今年も大変お世話になりました。
是非来年もまた新潟の秋に、旧小澤家住宅でお会いしましょう。
photo: mika nakanishi