新潟の伝統工芸と繋がる タクミクラフト

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2018.03.22

NIIGATA TAMATEBAKO - Exciting New Challenge for Niigata Traditional Craftsmen

新潟玉手箱 新潟仏壇の新しい挑戦 Vol.2

新潟仏壇の匠たち 活動レポート  ー 2017年9月から現在までの軌跡

投稿日:2018年3月22日 更新日:

2017.10 旧小澤家住宅に展示された新潟玉手箱に魅入る photo:ナカニシミカ

2017年9月、新潟仏壇の匠たちによる新しい試み「新潟玉手箱 NIIGATA TAMATEBAKO」がスタートしました。
新潟仏壇の伝統を継承する熟練職人の皆さんが、伝統の技術と本物の素材を使い、現代的な感性で作り上げる新しい工芸品。
高級箪笥として名高い加茂桐箪笥の職人による桐箱に、これまでにない発想で、漆と蒔絵、手彫り金具をあしらった意欲作です。
タクミクラフトでは、その取組の初動からお披露目に至るまでの約半年間の道のりに密着しました。

The new challenge called ‘NIIGATA TAMATEBAKO‘ by Niigata Butsudan artisans has started since September 2017. We have been following them from the start to the end of the exhibitions.

NIIGATA TAMATEBAKO – Exciting New Challenge for Niigata Traditional Craftsmen
新潟玉手箱 新潟仏壇の新しい挑戦 Vol.1 はこちらからお読みいただけます。

2017.9 プロジェクトスタート

日ごろより伝統仏壇の製作工程を統括し、今回の取組を引っ張ってゆく塗師の皆さんが集結。
新潟仏壇組合 友坂佛壇店 友坂弘之さん、林佛壇店 林芳弘さん、羽賀佛壇店 羽賀良介さんは、皆、伝統的工芸品「新潟・白根仏壇」塗箔部門の伝統工芸士で、代々続く由緒ある老舗佛壇店の親方という、錚々たる顔ぶれです。

The beginning of new project
Three skilled Urushi Painters led the project. Usually they oversaw the entire process of Butsudan creation.

  

新潟仏壇産地を率先して支え引っ張る 友坂佛壇店、林佛壇店、羽賀佛壇店

急ピッチで玉手箱の製作が始まる

残暑厳しい中、新潟仏壇と加茂桐簞笥の熟練職人の面々がアイディアを出しあい、すり合わせながら、10月の発表に向け大急ぎで試作を重ねていきます。持ち寄ったアイディアスケッチと何種類もある既存の桐箱を見比べ、桐箪笥の細部を参考にし・・・。いつになく真剣な眼差しで意見が飛び交うミーティングに、立ち会う私たちもやや緊張気味。
ようやく形が決まり、一度仕上げ・完成までこぎつけた玉手箱を、寸法にこだわってもう一度最初から製作し直す一幕も。

Toward the Completion of the New Exciting Product
Several traditional craftsmen from Niigata Butsudan and Kamokiritansu moved ahead with making Tamatebako at speed.
The first prototype was a failure unfortunately. Even more determined, they made another one having learnt from their mistake.

   

加茂桐簞笥工房にて

出来上がった桐箱は次に新潟仏壇の職部を担う熟練の匠に託されます。それぞれ異なる形状、デザインの桐箱からインスピレーションを得て、摺漆、梨地塗、金目塗、青貝塗と、異なる4種の塗り技法が使われました。青貝塗はその名のとおり細く切った貝殻を用い、夜空の天の川を表現しています。また、2種には精細な細工の伝統金具があしらわれ、これぞ玉手箱といった印象。
新潟仏壇の特徴でもある華麗な蒔絵は、本金銀粉、本漆を用いて新潟のモチーフや縁起柄を表現しました。北前船、松竹梅、ゆかりのある果花など・・・どれもこれもいつまでも見ていたくなる、本当に美しい仕上がり。

The experienced makie painter have never painted anything other than traditional makie patterns, but on this occasion, he tried his hand at a new modern design and enjoyed it. He was very pleased to put his skill to good use for the new design successfully.

   

新潟仏壇 熟練の匠たち 田中金具店、滝澤塗店、渡辺蒔絵店、高木蒔絵店

2017.10-11 完成した4種の玉手箱をお披露目

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新潟玉手箱 印籠・面付・五角・観音
それぞれの詳しい説明はこちらから

多くの匠の手技が入った玉手箱もついに完成! 芸術の秋が到来し、新潟市中央区の昔ながらの風情が残るエリア、通称:下町(しもまち)は上大川前通沿いの2会場で、玉手箱が展示お披露目されました。西大畑界隈、2017年秋の芸術散歩と銘打ち、2館をつなぐスタンプラリーを実施するなど、来訪者を大いに楽しませていました。
県内外、時には海外からも訪れた観光客や、地元の常連客の皆さんが足を止め、興味深くこの未来の玉手箱を眺めてらしたのが印象的でした。メイン会場の旧小澤家住宅では、玉手箱の他にも新潟仏壇の匠による新しい小物の発表や実演、製作体験もあり、盛りだくさんの展示会となりました。

The four different types of boxes were on display at two exhibitions in Autumn 2017.
When the gorgeous boxes were unveiled, many visitors including some tourists attended the exhibitions and they were amazed and impressed with the creations. Additionally, they held numerous events to show how to make traditional Butsudan on the site.

  

  

展示会情報:第6回 新潟仏壇工芸展 「未来へつなぐ伝統の技」 (チラシPDFへ) 於 旧小澤家住宅
新潟仏壇工芸展連動企画 色漆錦鯉 ‘KOIOKI コイオキ’​ほか 匠の小物展示販売 (会場HPへ) 於 新潟絵屋
photo:ナカニシミカ

2017.11.26 新潟市美術館 「漆を体感するワークショップ」

西大畑界隈、2017年秋の芸術散歩の最終章は、新潟市美術館で開催された漆のワークショップ。新潟仏壇の蒔絵師、塗師の皆さんを講師に迎え、美術館の企画展「東京国立近代美術館工芸館名品展 ―人為と天然 Art/Nature―」関連企画として実施されました。
たっぷり1時間半の蒔絵、金箔押しの製作体験には定員を上回る参加応募があり、抽選で選ばれた12名の皆さんとの時間は、実に和気あいあいと楽しいものとなりました。それにしても全員が見事な蒔絵を描かれていてびっくり!
会場となった実習室には、新潟玉手箱をはじめとする漆小物も展示され、参加者は匠の技や図柄を参考にしたり、細かな筆使いに感嘆したり・・・。大変満足度の高いワークショップとなったようです。地元の方に地元工芸の技術を深く知っていただくことの大切さを感じた1日でした。

Urushi Workshop at Niigata City Art Museum on 26th Nov. 2017
The workshop with 12 participants was held as a similar event in the museum. Niigata Butsudan Artisans demonstrated how to paint a picture with urushi, and then the participants painted on a small urushi square just like they had seen.

   

企画展情報:「東京国立近代美術館工芸館名品展 ―人為と天然 Art/Nature―」 (美術館HPへ) 於 新潟市美術館 

2018.2 アオーレ長岡 「第34回新潟県伝統的工芸品展」に出品

県内伝統的工芸品産地の大多数が参加する毎年恒例の一大工芸イベントで、新潟玉手箱を展示。新潟・白根仏壇のブースでは、毎年人気の蒔絵体験コーナーに加え、今回初めて展示販売のエリアを設け、7,000人を超える来場者に匠の技と新しい感性の融合を存分に披露しました。

Niigata Butsudan Artisans showed ‘NIIGATA TAMATEBAKO’ at the 34th Niigata Traditional Crafts Exhibition. See a report of the exhibition, click here.

  

左から新潟仏壇組合 金具師 田中さん、塗師 林さん、羽賀さん
展示会レポートはこちら

新潟玉手箱のこれから

今回、はじめて加茂桐簞笥製の桐箱に本格的な漆塗り、蒔絵、金具を施した新潟仏壇の匠たち。デザイナーの図案を手に、「俺さー、こんな斬新な柄これまで描いたことないわ〜」と戸惑いながらも、自分なりのアレンジを加えてさらにカラフルポップに仕上げてこられた蒔絵師さんなど、熟練職人の皆さんも、新境地を開かれたご様子! 手がけてみてはじめてわかった桐箱の特性や、展示して聞こえてきたお客さまの声などを参考に、今回の経験をもとにブラッシュアップした第二弾、第三弾とシリーズを展開していきたい、と意欲新たに語ってくださいました。また、今回製作した4点のラインナップはもちろんのこと、箱のサイズ、形状、漆塗や蒔絵の仕上げの特注予約も受け付けていくとのこと。
お問い合わせは、プロジェクトメンバーの友坂佛壇店(Tel.025-280-2236)、林佛壇店(Tel.025-223-1395)、羽賀佛壇店(Tel.025-273-1791)、また、タクミクラフト(Mail.info@takumicraft.com)でも受け付けます。お気軽にご連絡ください。

次はどんな展開を見せてくださるのか心待ちに・・・私たちはこれからも引き続き密着し、匠たちの新たな試みを応援してゆきたいと思います。

Next Step for Tamatebako
They plan to make practical products based on visitors’ voices. There were some important discoveries between kiri and urushi. Therefore they intend to apply the experiences to the new product. They will continue to offer flexibilities with clients’ wishes.

If you have further inquiries, please send your e-mail to info@takumicraft.com.

 

 

2017年秋にお披露目となった新潟仏壇組合の新しいロゴ
これからの新しい動きを予感させる、軽やかでしなやかなデザイン


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