タクミクラフト古民家展2019 レポート② 新潟16工芸産地の参加作家紹介
古民家展2019に参加した工芸産地、工房、作家の皆さんをご紹介します。
一堂に会していただいたらこの迫力!新潟県全域から(一部県外からも)たくさんの作り手が集まってくださったことが一目瞭然です。
古民家展2019 レポート一覧
①スポット展示の種明かし
②新潟16工芸産地の参加作家紹介
③ワークショップと実演風景
大滝ジュンコ
【〆六】小杉漆器店
池野漆工芸
鈴木漆器店
羽賀佛壇店
新潟仏壇組合
山口木彫製作所
野澤寛+足立茂久商店
紙工房 泉
野本桐凾製作所
鈴木石太郎タンス店
山田仏壇店
石川仏壇店
諏訪田製作所
+ぼんさい屋とき
鍛工舎 渡邉和也
足立茂久商店
渡徳工業
廣川仏壇店
小千谷織物同業協同組合
・杉山織物
桑原織物
十日町織物工業協同組合
吉澤織物
piquant(ピクァント)
ISANA(イサナ)
ネコオキ
トリオキ
参加作家:大滝ジュンコ
羽越しな布
1.移住した新潟最北の地、村上市山熊田集落でご自身の工房を立ち上げたばかりの大滝ジュンコさん。縞のアクセントが美しい羽越しな布を手に
2.障子ごしの光に透ける羽越しな布 3.こんなにたっぷりと長いしな布はスタッフも初めて拝見しました
4.マタギの頭領である旦那様と。旦那様の手元には、大滝さんのバリエーション豊かな織のパターンが見えます
photo 1-2,4: mika nakanishi
photo 3: morihashi
Otaki Junko – Uetsu Shinafu
「羽越しな布」は、はるか昔縄文の頃から作られていたという日本最古の古代布。樹皮からとりだした繊維で糸を績(う)み、機で織る木の色そのままのグラデーションが美しい織物からは、山の香りが立ちのぼってきそう。アーティストとして国内外で活躍してきた大滝さんは、この地と人に魅せられ移住し、今や織り手として自身の工房を立ち上げるまでになりました。結び継がれてきた技を未来に繋ごうと、今日も機に向かいます。
参加作家:【〆六】小杉漆器店
村上木彫堆朱
1.スポット展示のひとつ、主屋で一番格式の高い裏座敷で自身の作品〈8寸総彫飾鉢 牡丹唐草〉を案内する塗師の小杉和也さん
2.三彩彫のブローチや、細かな地紋の帯留めに目を細めるご婦人多し 3.これぞ村上!鮭踊る堆朱のぐい呑みはお酒も進みそう
4.平成30年度全国伝統的工芸品公募展 入選作。四季の花の彫刻を四隅に施し、金磨塗という技法で塗りあげた〈四季の盛皿〉
5.村上木彫堆朱の職人たちが集まれば、自然と漆談義に花が咲きます。居合わせた人々も聞き入ります
photo 2-3: mika nakanishi
KOSUGI SHIKKI – Murakami Kibori Tsuishu
小杉漆器店は江戸時代創業、村上木彫堆朱を市内で最も古くから製造販売している老舗漆器店。店のお座敷には、全面に精緻な彫が施された約150年前の堆朱茶棚が飾られ、圧巻の一言。木地師、塗師、彫師の3職が連携して作り上げた珠玉の工芸品を鑑賞できます。塗り部門の伝統工芸士として腕を奮う14代目 小杉和也さんと奥様の喜世子さん、夫婦揃って堆朱文化の継承と振興、ひいては城下町村上全体の発展に取り組んでいます。
参加作家:池野漆工芸
村上木彫堆朱
1.塗師としてご夫婦で活躍する池野律子さんと池野孝寿さん
2.白漆とのコントラストに目を奪われる〈彩漆花瓶 椿〉 3.夕焼け・朝焼けを表した〈彩漆コップ 心の風景〉 4.覚めるような青の〈彩漆ぐい呑み〉
5-6.堆朱のバレッタは女性の憧れ
7.堆朱の技法を丁寧に解説しながら実演をする池野孝寿さん 8.ひとつひとつの工程を丁寧に進めてゆく律子さん
photo 1-4,7-8: mika nakanishi
photo 5: morihashi
Ikeno Urushi Kogei – Murakami Kibori Tsuishu
村上木彫堆朱はその名に「朱」が入るほど、深みある印象的な朱(あか)色が特徴です。しかしその王道のイメージを覆すように、鮮やかな彩漆を用いた表現で新作を創り出す塗師、池野孝寿さん。その傍で伝統の朱と孝寿さんの色を自在に操り、アクセサリーなど華やかで可憐な彩りある作品を生み出す律子さん。近頃は京組紐とのコラボレーションもスタートし、ご夫婦の手仕事がまた新たな堆朱の世界を見せてくれています。
参加作家:鈴木漆器店
村上木彫堆朱
1.村上木彫堆朱 加飾部門(彫師)の伝統工芸士 鈴木伸也さん。若い力と発想で産地を盛り上げます
2.堆朱の朱色を軽やかに身に付けたくなる、鈴木さんの新シリーズ 3.サクラ・ハマナス・ボタン 村上にゆかりある花々
4.ここでも彫師と塗師の堆朱談義が。いつでも仕事熱心な姿が垣間みえます
photo 1-2: mika nakanishi
photo 3: morihashi
Suzuki Shikki – Murakami Kibori Tsuishu
これからの堆朱産地を担うおひとり、鈴木さん。数百年前から伝わる技術を正当に継承した製作をする一方で、現代の技術を取り入れたものづくりにも精力的に挑戦しています。新作は鮭や牡丹など、村上ならではのモチーフをレーザーで彫り込んだ根付。素材は天然木、天然漆とこだわりながら、彫りの工程を簡略化し価格を抑えた手頃な堆朱として、より多くの方に手にとってほしいと期待を込めた意欲作です。
参加作家:羽賀佛壇店
新潟仏壇
1.新潟仏壇のめおと伝統工芸士。蒔絵師の羽賀富美子さんと塗箔師の羽賀良介さんは公私ともに名コンビ
2.古民家展2017でお披露目した〈KOIOKI コイオキ〉は年々進化を遂げています。限定和柄も加わり一層華やかに泳ぐコイオキたち
3.金属製かと見紛うユーモアたっぷりの髑髏と蝙蝠のブローチは、富美子さんと白根仏壇 彫師の山口さんによる木彫の漆作品
photo 1-2: mika nakanishi
photo 3: morihashi
Haga Butsudan – Niigata Butsudan
5職(木地、彫刻、金具、塗箔、蒔絵)の分業で製作される仏壇。塗箔師の良介さんは仏壇の木地に刷毛で丁寧に漆を塗り、金箔を貼って金具を飾り組み上げます。蒔絵師の富美子さんは仏壇を美しく装飾するアーティスト。漆で描く様々な絵柄と、金粉や螺鈿などで飾られた仏壇は見る者を惹きつけます。漆や金箔を巧みに操り、日々仏壇の製作に向きあうお二人が創る作品には、仏壇職人の誇りと高度な技術が存分に込められています。
参加作家:新潟仏壇組合
新潟仏壇
1.新潟仏壇の熟練蒔絵師 渡辺豊さん。スポット展示で三楽亭に置かれた〈新潟玉手箱 五角〉とともに
2.会場の北方文化博物館が所在する、新潟市江南区ゆかりの花果を色漆で描きました
3.奥様と大藤棚の前で記念写真。はにかむお二人にこちらも照れ笑い
photo2: mika nakanishi
Niigata Butsudan
県内伝統仏壇産地のひとつ 新潟仏壇は、漆で絵や文様を描き金粉などを蒔く、蒔絵装飾の美しさに定評があります。〈新潟玉手箱〉は、塗箔師、蒔絵師、金具師が、各専門工程の技術を惜しみなく注いで製作しました。加茂桐簞笥職人製の国産桐箱に、新しい感性で本漆と本金蒔絵、手彫り金具をあしらい、本物の品格を追求した意欲作です。日常使いの愛用品、故人との思い出の品など、あなたの大切な一品を納めてお使いください。
参加作家:山口木彫製作所
白根仏壇
1.白根仏壇 彫刻師の三代目として、仏壇彫刻や欄間を手がける山口秀夫さん。御年83歳、卓越した技が光ります
2.生き生きとした鋭い目つき、会場の守護神として降り立った〈龍〉と、気品ある〈牡丹に孔雀〉
3.たくさん集まるとなんとも言えずキュート。仏壇彫刻にも使われる〈獅子頭〉の群
4.古民家展 最高齢参加の匠のもとには、いつ見ても他産地の職人の皆さんが集まり、製作秘話に耳を傾けていました
photo 1-2,4: mika nakanishi
Yamaguchi Mokucho Seisakusho – Shirone Butsudan
丸彫重彫を得意とし、躍動感あふれる鳳凰や孔雀などの彫刻が見事な山口秀夫さん。16歳で彫師の父に弟子入りし30代の若さで伝統工芸士を取得、彫師の道をひたすら邁進して今年で67年。数々の受賞を重ねましたが、今年も関東伝統工芸士会作品コンクールにおいて夫婦龍の木彫が、栄誉ある伝統的工芸品産業振興協会賞を受賞。生涯現役、堂々たる彫りの技術を披露しています。〈NEKOOKI ネコオキ〉の木地彫刻も手がけています。
参加作家:野澤寛+足立茂久商店
新潟漆器
曲輪の漆塗り弁当箱。県内唯一の曲物職人 足立照久さんが製作する曲物の弁当箱に、新潟漆器の塗師で漆芸家の野澤寛さんが漆塗りを施しました
photo: morihashi
Nozawa Hiroshi + Adachi Shigehisa Shoten – Niigata Sikki
新潟漆器は他産地で途絶えてしまった珍しい変わり塗の技法が数多く残っていることが特徴です。足立さんの曲物の弁当箱を彩るのも、錦塗をはじめ、曙塗、青貝微塵塗などの多種多様な変わり塗。古民家展では落ち着いた朱溜塗の弁当箱を展示しました。1922年生まれ、15歳で漆の道に入った野澤さんが90歳を過ぎてから、足立さんとコラボレーションされた貴重な作品です。
参加作家:紙工房 泉
越後生紙和紙
1.スポット展示の作品 手漉き和紙〈雲龍紙 白〉と、作家の田中雄士さん
2.越後生紙和紙職人の中でも草木染めの研究に長けている田中さん。古民家展にあわせ、昨年北方文化博物館からいただいた藤の葉で、柔らかい黄色の和紙を染めてくださいました。自身の工房にて
3.優しい草木染めのグラデーション 4.新作のはがきセットは、生成り、北方文化博物館の藤、タクミクラフト企画の切り絵モチーフはがきの3枚入り
photo 1,3-4: mika nakanishi
Kami Kobo Izumi – Echigo Kigami Washi
はるか昔から昭和初期まで一般的に使われていた生漉(きず)きの紙「生紙(きがみ)」は、未加工な本物の和紙のこと。伝統工法で原料の楮から強さ、柔らかさ、光沢、味わいがある美しい和紙に仕上げます。弥彦山の麓で作られる手漉き和紙は、自然や地元の素材を大切にし、素朴で柔和な草木染めの色彩美が特徴です。生紙を作る越後生紙振興会の会員として、自然と人の手の温もりを感じる和紙文化を伝承しています。
参加作家:野本桐凾製作所
加茂桐簞笥
1.野本桐凾製作所の皆さん。社名に「桐凾(きりはこ)」を冠するとおり、大切な物を納める桐凾の製造を発祥とする工房です
2.こども用の〈にこにこいす〉 3.使い方があれこれ広がりそうな新作の〈階段シェルフ〉 4.焼桐が渋い〈時代たんす〉
5.世界最高峰のインテリアデザイン関連見本市「メゾン・エ・オブジェ」(パリ)出展商品
6.加茂桐簞笥の職人仲間、野本剛さんと鈴木浩昭さん
photo 1-5: mika nakanishi
Nomoto Kirihako Seisakusho – Kamo Kiri Tansu
野本桐凾製作所は、用途に応じた精密な仕上げの特注桐凾はもちろん、伝統技術を駆使した桐箪笥やチェストの製作を得意としています。1ミリ以下の調整を可能にする正確な技術と感性が評価され、Karitaのコーヒーミルも手がけました。初の自社製品として誕生した「想ひ凾(おもいはこ)」は、現代の生活シーンを彩る可動式の桐箱です。桐凾製作から始まり日々発展を続ける工房では、今日も新しい凾が生まれています。
参加作家:鈴木石太郎タンス店
加茂桐簞笥
1.卓越した技術の証、伝統工芸士の資格を持つ兄 鈴木浩市さん(左)と、新しいアイデアに溢れる熟練たんす職人の弟 鈴木浩昭さん(右)
2.和にも洋にもあう焼桐の〈金具箪笥〉 3.人気の〈総桐箪笥 古都〉 4.新作の〈水屋箪笥〉は重厚な雰囲気
5.人気のスマホ用〈桐エコスピーカー〉はスポット展示でも活躍
6.東京から来場した方に、桐箪笥のよさを説明する鈴木さん
7.十日町 池谷・入山集落の棚田で作られた安全な玄米とコラボしたシリーズ〈8/10 はちがつ – とおか〉。奥の引き出しはなんと米びつ!
桐の米びつ:鈴木石太郎タンス店 米づくり:NPO地域おこし 企画監修:アドプロ+クエルカ
photo 1-5: mika nakanishi
Suzuki Ishitaro Tansuten – Kamo Kiri Tansu
創業明治20年、加茂桐簞笥の老舗 鈴木石太郎タンス店。原木の製材・アク抜き・天然乾燥と、産地で3年手塩にかけた桐材と職人の見事な手技によって、桐肌のぬくもりと絹に例えられる白い艶や柾目の色合いをもつ最高級家具が完成します。なかでも鈴木さんは国産桐にこだわり、伝統箪笥の製造にとどまらないアイディア溢れる現代の桐製品を次々と発表。飽掛けが命と語る鈴木さん、マルチな熟練職人の次の閃きが楽しみです。
参加作家:山田仏壇店
三条仏壇
1.三条仏壇 塗箔部門の伝統工芸士であり、三条・燕・西蒲仏壇組合で理事長を務める山田貴之さん
2.古民家展では塗箔師による本格的な金箔捺しの工程を披露してくださいました
3.山田さんが塗りを、三条仏壇 蒔絵師の春日美雪さんが絵付けを手がける愛らしい蒔絵だるまは種類も豊富。いくつも集めたくなります
all photo: morihashi
Yamada Butsudan – Sanjo Butsudan
山田仏壇店は、三条仏壇の伝統を継承する本格的な伝統仏壇から現代風の小型仏壇までを製造販売しています。毎週末には三条ものづくり学校で蒔絵の体験工房「塗場」を開き、伝統技術を気軽に体験できる場を提供しています。また、三条仏壇×目[mé]空壇プロジェクトを通じ、未来に残す祈りのかたちを大胆にも真摯に考え、産地の先頭をきって改革を実践しています。
参加作家:石川仏壇店
三条仏壇
1.新潟市西蒲区巻の工房で、三条仏壇の錺(かざり)金具を製作する金具師の五十嵐考宏さん
2.古民家展では、最新作の仏壇金具を発展させたアクセサリーをお披露目
3.銅板に手彫りで模様をつけ、金/銀メッキで仕上げています
photo 1,3: mika nakanishi
photo 2: morihashi
Ishikawa Butsudan – Sanjo Butsudan
趣向の凝らされた手打ち金具が、品格ある金仏壇を上品に飾る三条仏壇。金具部門の伝統工芸士である五十嵐さんは、ゆうに数百はあろうかという使い込まれた鏨(たがね)を自在に操り、伝統技法を駆使しながら新たな造形にも果敢に挑戦しています。三条仏壇×目[mé]空壇プロジェクトでは唯一無二の花立を製作し、アーティストを感動させました。
参加作家:諏訪田製作所+ぼんさい屋とき
越後三条打刃物
1.新潟市江南区で、自身で制作した陶の小鉢に様々な植物を植え込み、肩肘はらずに楽しめる小さな「ぼんさい」を提案している高橋星児さん
2.季節ごとに様々な植物が登場するぼんさい
3.本物の道具はフォルムも格別に美しい
photo 3: morihashi
Suwada Blacksmith Works + Bonsai-ya Toki – Echigo Sanjo Uchihamono
プロのガーデーナーとして高橋さんが相棒に選んだのは、三条鍛治の老舗・諏訪田製作所の盆栽鋏。鋏型高級爪切りが切れ味抜群と海外でも絶賛の当社は、大工道具の喰切製造を発祥とし、60余年前から植木盆栽用刃物の製造を始め今に至ります。また、三条仏壇×目[mé]空壇プロジェクトでは、金具師 五十嵐考宏さんの手打ち銅製鉢に高橋さんが盆栽を植え込み、新しい祈りの造形に華を添えています。
参加作家:アトリエ鍛工舎 渡邉和也
燕鎚起銅器
1.アトリエ鍛工舎 渡邉和也さんは気鋭の燕鎚起銅器職人であり、作家としても活躍しています
2.〈plot x prot – SAYU 白湯の釜〉筒と球、2種の柄杓を添えて
3.ブランド名〈plot x prot〉のPLOTは見立て、PROTは基本形の意だそう
photo 1: mika nakanishi
photo 3: morihashi
Atelier Tankosha, Watanabe Kazuya – Tsubame Tsuikidoki
燕鎚起銅器の老舗・玉川堂で修行ののち独立した渡邉さん。日本現代工芸美術展現代工芸賞など多数の受賞を重ねるほか、LEXUS NEW TAKUMI PROJECT 2017では新潟代表の匠として選出され、〈plot x prot – SAYU 白湯の釜〉を発表。日々丹念に、真摯に創り出される造形は、見る人が思わずハッと息をのむ驚きと、手にとってみたいという思いにかられる美しさを兼ね備えています。
参加作家:足立茂久商店
寺泊山田の曲物
1.足立茂久商店は、日本海を臨む寺泊山田集落で江戸時代より今なお続くただ一軒の篩屋(ふるいや)です。現在11代目の足立照久さん
2.大変希少な大人気商品〈電子レンジで使える曲げわっぱ〉も限定数で登場しました
3.新作の〈花結び〉は、花の美しさを引き立てながら、お部屋に和の雰囲気を手軽に取り入れることができます。スポット展示ではこんな佇まい
4.足立さんが中心となり、県内の匠の技を結集して完成した〈ウルトラ警備隊エンブレム オブジェ〉
5.足立さんのご縁で駆けつけてくださった太鼓集団 鼓明楽(コアラ)の皆さんも、足立さん作品に興味津々
鼓明楽さんのパフォーマンスの様子は、まもなく公開の ③ワークショップと実演風景 にて!
photo 1-2: mika nakanishi
photo 4: morihashi
Adachi Shigehisa Shoten – Teradomariyamada’s Magemono
街道沿いに昔ながらの木造家屋が軒を連ね、西側には雄大な日本海が広がる寺泊山田集落。県内唯一の曲物職人となった足立さんが日々丁寧に作る伝統の調理道具は、全国の和菓子店や割烹などその道のプロが愛用しています。また最近では、曲物の曲線を生かした照明やスツールなどインテリア商品の開発にも取り組み、長い歴史を持つ曲物の利用シーンを台所からリビングへと広げる試みが始められています。
参加作家:渡徳工業
越後与板打刃物
1.渡邉泰啓さんが代表を務める渡徳工業は大工道具に留まらず、彫刻刀や果樹の収穫用刃物など多岐にわたるラインナップが自慢
2.思わず手に取りたくなる〈ミニ鉋〉は、小さくても抜群の切れ味
3.初めての人でも鰹節がうまく削れるようにと、下準備を丁寧に指南した説明書に渡辺さんの人柄が現れています
photo 1,3: mika nakanishi
photo 2: morihashi
Watatoku Kogyo – Echigo Yoita Uchihamono
越後与板打刃物の起源は戦国時代にまで遡り、刀工が刀剣を造るかたわら鉋の製造に着手したのが発祥と言われています。以来、優れた大工道具を供給し日本の建築を支えてきました。現在も全国の宮大工や名棟梁が与板の大工道具を愛用しています。渡徳工業が製作する刃物なかでも、ドイツのバイオリンづくりのマイスターが絶賛する特別仕様の鑿(のみ)は、ヨーロッパにはない鍛造技術が高い評価を受けています。
参加作家:廣川仏壇店
長岡仏壇
1.常に前進がモットー、自社だけでなく産地全体を鼓舞して引っ張る廣川仏壇店の廣川会長(中央)と社員の皆さん
2.日本各地の伝統仏壇産地が技を競う全国伝統的工芸品仏壇仏具展において、「関東経済産業局長賞」受賞作品。やはり別格、ひときわ存在感をはなっていました。〈伝統的工芸品 長岡仏壇 新デザイン「宙」 国宝『曜変天目写し』〉
3.写真2の伝統的工芸品仏壇と同じデザインのものを、手頃に求められるようにと作られた創作仏壇。細部に技と美が宿ります
all photo: mika nakanishi
Hirokawa Butsudan – Nagaoka Butsudan
廣川仏壇店は140年余りの歴史をもつ長岡仏壇の製造・販売店。社内には技術に定評のある蒔絵部門 伝統工芸士の菊入哲也さんや、塗師 田中克巳さんをはじめとする経験豊富で腕の確かな職人たちを擁します。加えて長岡・小千谷地域の信頼のおける熟練職人らと連携し、一般家庭向け仏壇、宗教用具の製造だけでなく、寺院の改装や修復まで広く手がけています。長岡の鋳物製造業者と連携した美しい蒔絵ぐい呑みも開発しています。
参加作家:小千谷織物同業協同組合・杉山織物
小千谷縮・小千谷紬
1.出展に向けご協力くださった小千谷織物同業協同組合の事務長 山本和貴さん。2019年2月に開催した新潟県伝統的工芸品展での一枚
2.スポット展示でひと際目をひいた小千谷縮のシェード。初夏の風に吹かれて気持ち良さそうでした
3.杉山織物謹製、この時期の北方文化博物館にぴったりな淡い藤色の小千谷縮。いつかこれを着て大藤棚を見上げてみたいです
4.お気に入りの柄を探すのが楽しい、小千谷縮の名刺ケースと小銭入れ
photo 2-3: mika nakanishi
photo 4: morihashi
Ojiya Orimono and Sugiyama Orimono – Ojiya Chijimi, Ojiya Tsumugi
苧麻(ちょま)を原料として古くから生産されてきた麻織物と、そこから発展した絹織物。独特のシボ(しわ)があり、夏でもさらっとした肌触りの縮と、手触りが柔らかく絹独特の光沢で素朴な味わいの紬、どちらもきものファンにはたまらない逸品です。今回主屋の2階では、涼やかな夏の織物 小千谷縮を用い、これからの季節に最適な、上品な空間の装いをご提案しました。
参加作家:桑原織物
越後上布・塩沢紬・本塩沢・夏塩沢
1.塩沢織物工業協同組合の理事長を務める伝統工芸士の桑原博さん。越後の遅い春の風物詩、越後上布の雪晒しでのりりしいお背中
2.こちらも藤咲き乱れる会場にぴったりだった夏のお召し物、夏塩沢の反物。向こうが透けるこの薄さ!
3.蚊絣と呼ばれる細かな絣模様を駆使し、技巧を凝らした塩沢紬。地にも薄い桃色と水色が織り込まれ、桑原さんの技が光ります
4.桑原さんに貸していただいた貴重な越後上布と、燕鎚起銅器 渡邉和也さんの作品。互いを引き立てあいました
5.本塩沢の端切れを用いて作られた〈干支木目込み人形 亥〉
photo 2-5: mika nakanishi
Kuwabara Orimono – Echigojofu, Shiozawatumugi, Honshiozawa, Natsushiozawa
小千谷縮と共にユネスコ無形文化遺産にも登録された、国の重要無形文化財 越後上布。この麻織物の技術を応用して誕生した絹織物が塩沢紬と本塩沢、夏塩沢です。桑原博さんの織物は、どれも上品で繊細な仕上がり。越後上布技術保存協会会員としても活動し、塩沢の織物のために尽くして後進の育成や技術の継承に奔走される人柄が作品にも表れているようです。
参加作家:十日町織物工業協同組合
十日町絣
1.色々と采配してくださった十日町織物工業協同組合の事務局長 越村伸弥さん。雪深い十日町でのひとコマ
2.絣模様の試し織りをしたものなど、十日町絣の珍しい布が村上木彫堆朱の展示を彩りました。小杉漆器店の堆朱ブローチとともに
photo 2: mika nakanishi
Tokamachi Orimono Kogyo Kyodokumiai – Tokamachi Gasuri
全国有数の総合きもの産地である十日町。当産地で作られる伝統の先染め絹織物の1つが、伝統的工芸品 十日町絣です。経絣と緯絣を自在に駆使して表現する繊細な絣模様が、絹の光沢と結びついて落ち着いた風合いを出し、先染織物の代表作品として愛されています。杼と呼ばれる機織りの道具を色糸ごとにいくつも使い分け、複雑な模様を織り上げる織子さんの様子は、飽きることなくいつまでも見ていられそうです。
参加作家:吉澤織物
十日町明石ちぢみ
1.吉澤織物デザイン部で活躍する布川大悟さん。2018年には十日町明石ちぢみ 意匠部門の伝統工芸士にも認定されました
2.伝統的工芸品 十日町明石ちぢみの反物2種は、着物通のマダムも大絶賛されていたのが印象的でした。
布川さんデザインの〈筬波明石(おさなみあかし)ちぢみ 七宝つなぎ変り織〉は、十日町きものフェスタ2019新潟県知事賞受賞作(上)
3.産地でも在庫限り、貴重な十日町明石ちぢみの扇子
4.着物姿でご来場のカップルは、各産地の反物展示をじっくりと鑑賞してくださいました
photo 1-2: mika nakanishi
photo 3: morihashi
Yoshizawa Orimono – Tokamachi Akashi Chijimi
あでやかな振袖などの後染織物と、糸の段階で図柄にあわせて染め分ける先染織物、どちらをも製造する老舗 吉澤織物。なかでも十日町明石ちぢみは製織部門の熟練伝統工芸士 児玉浩さんや、意匠部門の新進気鋭の伝統工芸士 布川大悟さんをはじめとする腕利き職人たちによって、幾多の工程を経て作られています。透け感の見事な反物はもちろん、その貴重な織物を用いた限定数の扇子は、持つだけで夏の装いが一段とおしゃれに。
参加作家:piquant + 南魚沼市栃窪の苧麻 – choma bag 苧麻バッグ
1.東京在住のバッグ作家 piquant(ピクァント)さん。越後上布の原料 苧麻(ちょま)を手に
「1本1本大切に結びながら編みこんで、自然素材がアクセントのクラッチバッグに仕立てました」
2.古民家展2017でお披露目した〈choma bag 苧麻バッグ〉。今年も東京から来てくれたねと、常盤荘もうれしそう
3.作家のアイディアでどんどんバリエーション豊かに、華やかに、パワーアップしています
all photo: mika nakanishi
piquant + Minamiuonuma Tochikubo Choma – choma bag
越後上布は、ユネスコ無形文化遺産指定 夏着尺として最高級の麻織物。苧麻(別名:カラムシ)と呼ばれる植物の繊維から糸を作り、気の遠くなるようなたくさんの手作業を経てやっと一反の織物になります。南魚沼市栃窪で試験栽培された特別な苧麻でpiquantさんにバッグを製作してもらいました。澄んだ水と空気で育った、素朴で強くて生命力に溢れる苧麻と、美しい異国のリボンたちが思わぬ形で出会いました。
協力:越後上布技術保存協会
参加作家:足立茂久商店 + ISANA – 曲輪スツール
1.ISANA(イサナ)は家具職人の中川雅之さんと染織家の中川なぎささんご夫婦が営むオリジナルメイドの家具と染め織り布のお店です
2.寺泊山田の曲物 足立茂久商店製作の〈曲輪スツール〉と、新潟で活躍する染織家 中川なぎささんの布が出会ったタクミクラフト限定の曲輪スツール
3.座面に使用した布 “STITCH & DYE” 。その布で作られたなぎささんの〈赤線ポーチ〉
photo 2: mika nakanishi
Adachi Shigehisa Shoten + ISANA – Magewa Stool
新潟市中央区沼垂で活動するISANAの染織家、中川なぎささん。なぎささんの代表作でもある“STITCH & DYE”は、布をキャンバスに思うがままにミシンを走らせ、ステッチが縁取る円弧に赤く彩色をほどこして作り出されます。この世にひとつとして同じ柄がないのが大きな魅力!もちろん曲輪スツールも一脚ごとに表情が変わります。タクミクラフト・オンラインショップで限定販売中。
参加作家:クリエイター + 仏壇伝統工芸士 – NEKOOKI ネコオキ
新潟のクリエイターと仏壇伝統工芸士の手から生まれたネコの箸おき
仏壇伝統工芸士:新潟仏壇 蒔絵師 羽賀富美子、白根仏壇 彫師 山口秀夫、長岡仏壇 彫師 高野初司、小千谷仏壇 木地師 伊東貞夫、新潟仏壇 塗箔師 羽賀良介
クリエイター:アドプロダクションエム 小川定信(ちゃめねこ)、 小坂英登(ねんねこ)、パルスデザイン 飯塚由美子(もちねこ)
企画監修・コーディネーター:クエルカ 川越千紗子
1.〈ネコオキ〉のメイン工芸士 羽賀富美子さん(中央)を囲んで、クリエイターの小坂英登さん(左)と小川定信さん(右)
背後に見えるは塗箔師の羽賀良介さん
2.古民家展2019で初お披露目となった新作〈ねんねこ〉の試作ピース。正式発表は今年の夏頃?!でしょうか、お楽しみに
3.おもちのような形がかわいい〈もちねこ〉
4.寄り添うと中央にハートの隠し模様が登場する〈ちゃめねこ〉
Creators + Butsudan Craftsmen – NEKOOKI (cat chopsticks pillow)
伝統仏壇産地がたくさんある新潟だからこそ、贅沢にも熟練伝統工芸士たちの手から様々な愛らしいネコオキが生まれました。もちねこ・ちゃめねこ・ねんねこ、携わるクリエイターと木地師、彫師、蒔絵師、塗箔師、それぞれの感性と技術が融合し、世にふたつとない作品に仕上がっています。ネコオキシリーズは、お好きな猫の柄に絵付けするオーダーメイドが人気です。詳しくはタクミクラフト・オンラインショップをご覧ください。
参加作家:羽賀富美子 + さいとうようこ – TORIOKI トリオキ
鳥の置物 トリオキ
蒔絵師 羽賀富美子 + 造形作家 さいとうようこ
企画監修:パルスデザイン 飯塚由美子
1.さいとうようこ(陶芸)と羽賀富美子(蒔絵)のコラボレーション。ひとつずつ描くため、表情がすべて微妙に異なります
2-3.フクロウシリーズは現在「グレートオウル」「シロフクロウ」「シマフクロウ」「メンフクロウ」「トラフズク」の5種類があります
4-5.左:建築家、後藤哲男さんによる3種木彫セット、右:田辺工房の田辺さんの作品。いずれも蒔絵は羽賀富美子さん
6.鳥に詳しい女の子が入念にチェック中
7.作家と談笑しながらのセレクトが楽しい
photo 4: mika nakanishi
photo 2-3,5: morihashi
Haga Fumiko + Saito Yoko – TORIOKI
〈TORIOKI トリオキ〉は、蒔絵師とオブジェアーティストがコラボレーションしたペーパーウェイト、学びのお守り。ユニークな佇まいに思わず笑みがこぼれます。蒔絵師の羽賀富美子さんは漆をキャンバスにした美術作品も数々制作し、県展出展や個展など、作家活動も精力的に行っています。トリオキに関するお問い合わせは、タクミクラフト info@takumicraft.com までどうぞ。
新潟16工芸産地からの参加工房、作家の皆さんをご紹介してまいりました。同じ産地でも作家によって作風や作品に込める思いはそれぞれ、十人十色の素晴らしさがあります。新潟県内では、従事されている方が少なくなった工芸品もあります。タクミクラフトはこれからも、ひとつでも多くのユニークな作品や作家を、ひとりでも多くの方に知っていただけることを願っています。
古民家展2019 レポート一覧
①スポット展示の種明かし
②新潟16工芸産地の参加作家紹介
③ワークショップと実演風景
「タクミクラフト古民家展 2019」
会期:2019年5月3日(金・祝)〜5日(日・祝)
会場:北方文化博物館 登録有形文化財 茶室 常盤荘・古民家 吉ヶ平
主屋をはじめとするスポット展示
主催:タクミクラフト
協力:一般財団法人 北方文化博物館
オリジナルスピーカー製作・音響 関利朗
太鼓演奏 太鼓集団 鼓明楽(コアラ)
和紙行灯 越後門出和紙、越後生紙振興会
photo: mika nakanishi, morihashi
参加16産地(工房/作家名 敬称略):
羽越しな布 (大滝ジュンコ)
村上木彫堆朱 (池野漆工芸、小杉漆器店、鈴木漆器店)
新潟仏壇 (新潟仏壇組合、羽賀佛壇店)
白根仏壇 (山口木彫製作所)
新潟漆器 (野澤寛+足立茂久商店)
越後生紙手漉き和紙 (紙工房 泉)
加茂桐簞笥 (鈴木石太郎タンス店、野本桐凾製作所)
三条仏壇 (石川仏壇店、山田仏壇店)
越後三条打刃物 (諏訪田製作所+ぼんさい屋とき)
燕鎚起銅器 (渡邉和也)
寺泊山田の曲物 (足立茂久商店)
越後与板打刃物 (渡徳工業)
長岡仏壇 (廣川仏壇店)
小千谷織物 (小千谷織物同業協同組合、杉山織物)
塩沢織物 (桑原織物)
十日町織物 (十日町織物工業協同組合、吉澤織物)
タクミクラフト企画製品