十日町総鎮守 諏訪神社の境内にある「機(はた)神社」。地域では一般に「黒姫神社」と呼ばれ親しまれている。
本日、6月6日は、日本有数のきもの総合産地と名高い十日町織物産地にとって、大切な神事のある特別な日。
産地の織物業に関わる人々が本殿の並ぶ高台に集まり、機神様を祀る機神社において、日頃の感謝と、織物業の発展を祈願する例祭が執り行われます。古くからこの日は「六郎いん」と呼ばれ、機織りとともに田かきなどの農作業も禁止されました。
この例祭を取り仕切り、また、年間通じて機神社を護ってらっしゃるのが、産地の織物製造事業者で構成される十日町織物工業協同組合の皆さんです。同組合の事務局長である越村さんに、実際に境内を案内していただきながら、黒姫様信仰、例祭の由来などをお聞きしました。
寛政5年(1793年)、ここに機神社が創建される前から、黒姫様は機織りの神様として機業(織物業)の人々から、厚く信仰されていました。
十日町地方では、古くから高柳(現在の柏崎市)の黒姫山を機神様として信仰し、機織りに従事する娘たちが技量の上達を祈って参拝する習わしがありました。黒姫山の山麓には黒姫神社が鎮座し、その昔、地域の民に機織りなどを教えた姫神が祀られています。
そのため、十日町での機神社創建時には、伊勢由来の織物の神様、麻績屋媛命(おうみやひめにみこと)を祭神としつつも、民間信仰として絶大な信心を集めていた黒姫神を合祀する形となり、機神社のことを地域では一般的に「黒姫様」、「黒姫神社」と呼んで信仰し、今に至っているのだそうです。
機屋さんを中心に織物加工業者が数多く集中し、住民の大部分の皆さんが生業として機業に従事してきた十日町。日本の基幹産業であった織物業を支え続けてきた地域において、その信仰の強さは容易に想像がつきます。
本殿の扉には、いくつもの小さな布が結びつけてありました。機織りをする方々が技術向上を願い、自分の織った布に名前を書きつけて結ばれるのだそうです。
特別に本殿の内部へも入れていただきました。機織りをする黒姫様の姿でしょうか。
本殿が並ぶ高台の境内からは、十日町市街を一望でき、素晴らしいロケーション。
十日町へお出かけの際は、是非、黒姫神社へもお出かけください。
また、神社からほど近いところには、かつて織った布を晒したという晒川も流れ、織物の歴史にゆかりある石碑などを巡り、街歩きを楽しむことができます。
新潟県十日町市宮下町東 諏訪神社境内
十日町織物工業協同組合
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photo: mika nakanishi